地方時と日の出の時刻


 昼と夜は地球が西から東へ自転しているために生じる。しがたって、夜明けは地球上で東にある土地ほど早い。そこで、地球上の各地点に、それぞれ固有の時刻というものがあると考えることができる。この固有の時刻を地方時という。南北に並んだ経度が等しい土地に対する地方時は等しく、経度の差が15度で1時間の時差があるのである。

 ちなみに、日本で一番早い地方時は南鳥島、次に北方領土、そして根室市である。21世紀に一番近い街、根室市は日本で一番地方時が早い最東端の街である。

 そして、ある地域内で経線を選定し、この経線の地方平均時をこの地域内で共通に使うことにした場合、この経線の地方平均時をこの地域での標準時という。日本では明石市を通る東経135度上の地方平均時を日本の標準時としている。

 一方、日の出の時刻は地方時とは別のものである。例えば、初日の出の時刻をみると、千葉県銚子市は北海道根室市よりも西にあり、地方時が遅いにもかかわらず、根室市よりも早く初日の出が見られる。それは、初日の出は南東より北西に向かって昇ることによる。初日の出は緯度と経度、並びに標高によって決まる。したがって、小笠原諸島の南鳥島が5時27分と最も早く、父島が6時20分、富士山頂が6時42分、千葉県銚子市の犬吠崎が6時46分、北海道根室市納沙布岬が6時49分、そして、最後の日の出が沖縄県与那国島で7時32分となる。

 したがって、本土では地方時より初日の出の時刻の差の方が少ない。地方時では約1時間の差がある根室市と長崎市であるが、根室市の初日の出が6時50分であり、長崎市の初日の出が7時23分となっている。その差はわずか33分である。初日の出が経度だけではなく緯度と標高の影響を強く受けることがわかる。ちなみに、那覇市の日の出は7時17分であり、福岡市の7時23分より早いのである。

 ただし、初日の出の時刻は実際に日の出が見られる時刻とは異なる。実際の日の出は雲などによって遅れ、天候の影響を受けやすいのである。したがって、同じ地点でも初日の出が実際に見られる時刻は年によって異なる。

 前述したように、人間の自然な感覚では日の出が一日の始まりとして考える傾向がある。地方時と初日の出の時刻のどちらを重視するかは意見の分かれるところだろう。

 海外でもニュージーランドとトンガが標準時と初日の出の時刻で争っている。世界で一番早い2000年の「初日の出」が見られるニュージーランドのチャタム諸島は、日本時間の12月31日午後7時15分に新年を迎える。

 トンガがサマータイムを使えば、1時間早くなり12月31日午後7時に新年を迎えることになり逆転する。しかし、初日の出は緯度と経度、並びに標高によって決まるため陸から最も早く初日の出が見られるのはニュージーランドのチャタム諸島となる。

 この様に、2000年や21世紀の始まりが早いのはどこかは人間が決めたルールによって変化するのである。

 ちなみに、日本では地方時も初日の出も早いのは南鳥島であるが南鳥島への一般人の上陸は許可されていない。そこで、船上から初日の出を見るツアーの企画が練られている。 陸地から観光をかねて楽しめる場所は、地方時が最も早い最東端の根室市や、初日の出が富士山頂に次いで早い千葉県銚子市である。

 そして、地方時も初日の出も日没も最も遅いのは南国パラダイスの沖縄県与那国島である。20世紀に日本で最後に沈む夕日を見たい人には与那国島がおすすめである。


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